権利を取得したのに未稼働のままのケース
再生可能エネルギーの普及促進をするために、国では固定価格買取制度を創設し、20年という長期にわたって、電力会社に一定価格で買い取るよう義務づけています。
この恩恵を得るには設備要件を整えたうえで、国の認定を受け設備IDという売電権利を得る必要があります。
もっとも、せっかくIDを取得しても、中には運用に至っていない発電設備も少なくありません。
信頼できる建設業者が選定できずにいるといったケースから、予定していた材料の仕入れやシステム建設が予定通り進まずに滞っているケース、稼働や運営にかかる資金調達ができずに稼働計画がとん挫しているケース、他事業や新規事業の状態悪化により既に調達や建設を見送って事業の引き継ぎ先を検討しているケースなどもあります。
未稼働は権利の失効リスクが
資源エネルギー庁では、設備IDだけを取得して稼働に至っていない設備について危惧を抱いており、本来の固定価格買取制度の趣旨である再生可能エネルギーの普及促進を図るためにも、平成29年3月末までに電力会社との接続契約を締結しない場合には権利を失効させるという制度改革を行いました。
売電権利を停滞させることで、ID認定が失効されるリスクがありますので、早期の稼働を目指すか、それが難しい場合には失効する前に投下した資金の回収手段や、設置した設備の有効活用について考えなければなりません。
平成26年以前に売電権利を取得して未稼働のままなら
この点、固定価格買取制度の太陽光電力の買取価格は一度認定されれば20年間固定されますが、認定時期によってその固定価格は下がっています。
平成26年度以前であれば32円以上と高単価でしたが、平成27年度には20円台となり単価が大きく下がっています。
逆に言えば、平成26年度以前に権利を取得している場合、新規で取得するより有利な価格での売電が可能となるため、新規で太陽光発電事業に参入しようとしている事業者にとってはとても魅力があります。
つまり、設備ID失効前に高単価で売電する権利を売却して投下資本を回収し、事業を譲渡することで、設備の有効活用と売電価格の引き継ぎを目指すのも一考に値します。